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031-040

031

ここから出られなくなったけどそれはそれでしょうがない ある程度予想はしていたからしょうがない でも自分が外に出ることを少しでも期待してくれる人がいた その人たちを悲しませてしまったと思うとやるせない気持ちになる この気持ちはどうすればいいのだろう ここにいても何もできない

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時間がたつとやっぱりそうなった なんてことはないやっぱり外に出たかった 妻に会いたい家族に会いたい ただそれだけだ 結局いつまでここにいるのかわからなくなって 急に怖くなった本当に都合がいいんだから嫌になる それでも外に出たいとちゃんと思えるようになった ただの言い訳だったんだ外に出るのが怖いってただ逃げてるだけだって

033

やっぱり自分は弱かったどんどんそう思うようになる 早く外に出たい 妻に会いたい妻に謝りたい妻に本音でちゃんと話したい 自分はずっと弱いままだったそれじゃ意味がない ちゃんと変わらなきゃ逃げない自分に変わらなきゃ 強くなくてもいいちゃんと弱音をはける誰かに相談できる そんな自分に変わらなきゃ

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空があることのありがたさを知った ここには曇り硝子の窓がある そこから空を感じられる 朝がきた夜がきた それだけなんだけどちゃんとわかる 時計だけではそのうちわからなくなるだろう 朝がきたのか夜がきたのか ただ時間が過ぎていくだけで何も感じなくなってしまう 1日の区切りがわからずに何も感じなくなってしまう 空は光だ

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ここでの生活はそれなりに悪くはない 早寝早起きができて決まった時間に食事が出る冷暖房も完備している 本が読めて適度に運動もできる そして何より社会から守られている 固い塀があって飛んでくる矢に気づかない 外には自由がある外に出ればなんでもできる でも守ってくれるものはない 社会に放り出された自分は異質 白いハンカチに落ちた汚いしみ それが自分

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今までずっと必死に走ってた ここまでずっと走ってきた ちょっと今は休憩時間そう思うようにした ここらで少し休もうかちょっと立ち止まって休もうか そう思えば少しは楽になる そうしたらこのあとずっと走れるさ 死ぬまで休まず走り続けよう重い荷物を背負ったままずっと死ぬまで走り続けよう

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窮地に立たされれれば立たされるほど冷静になっている自分が嫌だ 相手の目線話し方質問の意図や裏を探ってしまう 自分の癖や仕草をきちんと把握していて どうすればこの場に適しているのか即座にわかってしまう 考え事をする仕草思い出そうとする仕草ごまかそうとする仕草 それを使い分けている そんな自分が嫌だ あと先のことを考えず損得を考えず自分の感情をぶつけたいさらけ出したい 怒鳴りたい叫びたい泣きたいわめき […]

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いつの間にかつめたいご飯に慣れていた いつの間にかひとりのご飯に慣れていた 最初はあんなに悲しかったのに今は何も感じない 慣れとはこういうものなのか きっとこうやっていろいろなことに慣れていくのだろう 毎回悲しむのも辛いけどこれはこれで辛い 大切なものを失ってしまったようで少し怖い 慣れは怖い

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懐かしい音楽はなぜか胸に突き刺さる 寂しい切ない苦しくなる 懐かしい音楽はそんな気持ちにさせる 昔の心が懐かしいメロディに乗って今に届いてくる そして我にかえる昔と今の大きな違いに この現実を受け止められないそういう気持ちがあるからだろう 懐かしい音楽を聞いてこんな気持ちになるのは

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妻が来なくなった 最初は仕事もあるだろうからそんなふうに思ってた 年末になって仕事も終わったはずなのに妻が来ない風邪でもひいてしまったのだろうか のんきに考えていた ああもう自分とは関わりたくないのかな そう考えたこともある ここにもきっときたくないのだろう自分にも会いたくないのだろう そう考えたこともある わからない何が正解かわからない ここにいるとただ考えるしかないただ想像するしかない