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011-020

011

ここで初めて誰かと食べる食事のありがたさを感じた ここではひとり壁に向かって食べている しゃべることなど一切ない そんなことを考えていると涙がこぼれそうになる 食べながら泣きたくなってしまう 一日の中で食事の時間が一番辛い ここを出たら一番に妻とご飯を食べたい 温かいご飯を一緒に食べたい 欲を言えば炊きたての白米も一緒に

012

ここではあっという間に一日が終わる 食事をして運動をして本を読んで それだけで一日が終わる こんなかんたんに一日が終わっていいのだろうか 一体自分は何をしているんだろう

013

夜眠れない かたい布団のせいなのかかたい枕のせいなのか 夜眠れない 一日何もしていないからか疲れもしないからなのか 夜眠れない ずっと後悔しているからなのか周りの人に迷惑をかけてしまったからなのか 夜眠れない 未来のことを考えることが怖いから

014

また夜が来た毎日毎日眠れない夜が来た 何回も目をさまし何回も夢をみる こういうときに限ってリアルな夢をたくさんみる 夢の中にずっといたいと思ってしまう 何回も目をさまし何回も夢をみる また夜だ

015

朝が来たまた眠れなかった ちゃんと眠れることはないだろう だからすぐに目がさめる 今日も何もない一日が始まってしまう こんな気持ちになってしまう朝をあと何度迎えるのだろうか

016

どうも雪が降ったららしい 自分にとって雪は特別 なぜかと聞かれると困るけど 雪が降ると誰かに話したくなる 雪が降ると誰かと一緒に見たくなる 雪が降ると切なくなる 雪は特別 でもここは雪を感じることはできるけど雪を見ることができない 誰かに教えることができない

017

自分は今までたくさんの罪を犯してきた その中で一番大きな罪は 誰にも相談しなかったこと一人で抱え込んでしまったこと それは自分のちっぽけなプライドで弱さのせいだった逃げたせいだった たった一人たった一言言えればよかったんだ 助けてって そうすればこんなことにならなかった こんなにもたくさんの人を悲しませることはなかった こんなにもたくさんの人を裏切ることはなかった 誰にも言わないそれは大きな罪だっ […]

018

自分は絶対泣いてはいけないそんな立場にいないのだから 妻や家族は泣いてくれるそれでも自分は必死に涙をこらえる でも別に涙が枯れているわけではない 気を抜けば目から溢れてしまうだろう それでも泣いちゃだめなんだ絶対涙を落としてはいけない そしたらいつ泣けばいいのだろう 本当はいつも泣きたいおもいっきり泣きじゃくりたい でも堪えなきゃ 誰か助けて泣かせて許して

019

いろんなことを後悔している 今回のことも今までのことも あのときこの選択をしなければと 月並みだけどそう思う 学生のころ思い描いていた未来はこんなんじゃなかった どうしてこうなってしまったのだろういつから変わってしまったのだろう ふと思う自分の人生って何なのか何のために生きればいいのか

020

心と身体は別々 身体はだんだんここに慣れてくる 生活リズムに適応してむしろ健康的になってきている でも心はどうだろう どんどんむしばまれていくどんどんすさんでいくどんどんくずれていく それがわかってしまう 気を抜いたらどこまでも落ちていきそうだ 何かにすがりついていないと取り返しのつかないことになる でも一体に何にすがればいいのか 何も見えないたった一筋の光が見えない