008

曇り硝子の空

手を汚した

人間の心を持っていないのだろうか

何回も何回も

人間の心を持っていないのだろうか

いや
どこまでいっても

人間だった

ちっぽけな人間だった

倫理観を捨てれば
なんでもできると思って

一生懸命
倫理観を捨てようとしていた

罪悪感と恐怖感に
心が押しつぶされそうになっていた

そんな自分は
嫌になるくらい普通の人間だった

そんなになるなら
しなければよかったのに

そこまで追い詰められていた